日本語の不思議、中国語のナゾ・その3

縁あって、日本語を中国語訳した文章、会話、歌詞などをチェックする仕事に就いていた。

もちろん直訳すればいいわけはなく、ニュアンスやら言い回し、時に日本語だけでなく発言者の意図までもの理解が求められる作業である。中国に住んでいる以上、中国人と自分の違いはいやでも実感する日々ではあるが、この仕事に就くようになってより言葉に敏感になったように思う。言葉の違いは文化の違いで、生活の違いで、行動の違いであり、やっぱり面白い。研究などという大それたものではないけれど、私が日々感じている面白さを思うままに書いてみようと思う。

とあるプロジェクトで知り合った中国人社長の会社で、週2日だけバイトすることになった。元々はアニメ制作の通訳の仕事だったのだけれど、その社長のもうひとつの会社で、IT関係の日系企業である。今回お手伝いするプロジェクトは、中国人向けのポータルサイトを作るというもので、メンバーは100%中国人だ。

まだ立ち上げの段階なので、新規チームとして、私と中国人女子2人には会議室があてがわれた。個人の机がないので、大きな会議机にパソコンを3台並べて作業しているのだが、線が短すぎるようで、モニターを動かすとプラグがはずれ、すぐに画面が消えてしまう。今日も作業していたら、さっそく画面が消えてしまった。
ため息をつきながら隣を見ると、隣のリンちゃんはモニターを動かしているのに、画面が消えている様子がなかった。で、ちょっといじけてみた。

为什么你的电脑那么好啊?我的电脑稍微转就不行了。
日文:なんでリンちゃんのパソコンはそんなにいい子なの?私のはちょっと動かしただけでもうだめだよ。

哈哈哈!你的RP有问题吧!
日文:ははは!RPの問題じゃない?

・・・RPってなんだろ。
パソコンの部品のことかな?こう見えて、リンちゃん意外とパソコン詳しいんだなと感心していると、向かいに座って作業していたタクちゃんが笑って言った。

那我的RP也有问题啊?
日文:ええ〜、じゃあ、私のRPも問題あるってこと?

・・・もしや、RPって常識?なんだろう。プラグのことかな?

中国の恥はかきすて、ってことで聞いてみると、「RP」とは、「人品(品格、品という意味)」のピンインである「RenPin」の頭文字を取ったもので、最近若者の間で流行っている言葉なんだそうだ。大体がからかうときに使うみたいだけど、日本でも流行っていたKYとかと同じ原理だ。そう考えると、日本語はどうして「くよ」と言わないのかがじゃっかん不思議な気もするけど。RPのほかには、「彪悍(乱暴とか、野蛮という意味)」のピンインで「BH」なんていうのもあって、「彪悍的人(乱暴な人)」「这样太彪悍!(そんなの横暴だ!)」のように使うらしい。

おもしろかったので、他に流行っている言葉がないか聞いてみると、「雷人」という言い方もあるという。これは頭文字じゃないけど、「你的头发太雷人的!(ビックリするわその頭〜!)」というようなニュアンス。落雷のイメージで、すごさを表現しているらしい。日本語でいうと、古いところで酒井法子の「マンモスうれP〜」、新しいほうだとしょこたんの「ギガントウレシス」というところか。

意外と似てたりするから、なんとなく嫌いになれないんだな。
そうやって、フクザツな中国語と自分の関係を改めて認識する毎日である。

written by aiya