前略、上海の道の上より〜東平路〜

歩くのが、好きだ。
上海で交通機関を利用して、それがバスだったりすると、思いもよらない場所へ連れて行かれたりしておもしろいけれど、自分の足で歩くということは、その道の空気を肌で感じられるということだと思う。

「東平路に住んでいる」というと、周りの人の反応はキレイに二つに分かれる。
うらやましがる人:夜遊び上手。
知らない人:堅実に上海生活を営んでいる方。
上海では、住所を交差する2つの道の名前で表すので、片方の道がマイナーでも、もう1つの道を知っていればその場所がどのへんなのか大体わかることがある。東平路はまさにそうで、昔からのメジャーどころ「衡山路」と交差しているので、たいていの人は予想がつくらしい。

さて、そんな東平路には夜遊びスポットがたくさんある。
宗美齢のお屋敷だったという、1920年代に建てられた洋館を改装してつくられた「Sasha’s」、隣接している「zapatas」、蒋介石の別荘をリニューアルした雑貨&レストラン「ラピスラズリ(藏瓏坊)」。他にも上海歴の長い日本人からの評価が高いレストラン「滴水洞」やオシャレなタイ料理レストラン「Simply Thai」、上品な雑貨屋さん「Simply life」、その向かい側には、いつも込んでいるカフェベーカリー「PAUL」。衡山路を渡って烏魯木斉路側に歩いていくと、カンボジア料理レストラン「AZUL Tapas Lounge」や、地元の若者の間では話題になっているらしいクラブ「not me」、遅い時間までいつも人が入っている中華料理レストラン「凱文酒楼」などがある。


ある意味ウケ狙いとしか思えないこの通りで、私が好きなところは、街路樹の感じと、烏魯木斉路に近いところ。(バス停に近いから。)
上海に来たばかりの頃、右も左も中国語も本当にわからなくて、迷子になりながら歩いているときでも、街路樹はオシャレなようであたたかくもあり、「いいな、上海に来て良かったな」と思えたものだった。その街路樹に囲まれた東平路は、歩いているとなんだか落ち着く。そして、烏魯木斉路との交差点には小さな公園があって、夏の夜になるとラジカセを持った熟年カップルがどこからともなく集まり、思い思いにダンスを踊っている、そんな日々の小さな幸せが感じられる通りでもある。

夜遊びしに来た人も、たまには街路樹の下を散歩しながら帰るのもオススメですよ!と、インドア夜更かし派の私は、部屋の窓から外を眺めるのである。