妹よ

上ステ・メンバーのCamusさんが上海に買出しに来ており、1年ぶりくらいに、彼女の友人であるユウちゃん(仮名)を交えてBARBAROSSA(芭芭露莎)へ飲みに行った。
そこで聞いた、うそのようなホントの話。
「この間、古北で、だまされて、お金取られたんですよ」
古北=日本人や韓国人を始めとする外国人駐在員が住むバブリーな地区で?この間=5-6年前は結構聞いた話だけど、数週間前の、この間?
冒頭から、かなりのインパクト。
ユウちゃんの話によると、その日、彼女が道を歩いていると、自転車のおじさんAが通りすがりに分厚い100元札の束を落とし、それを後ろを歩いていた別のおじさんBが拾ったんだという。Bがほくほく顔で札束をしまおうとすると、Aがものすごい勢いで引き返してきて、あっという間に大喧嘩を始めた。
「あっけにとられて見ていたら、Bが私のほうにやってきて、こいつが証人だ!俺は盗ってない!って言うんです」
うわ〜、私が留学生のころに聞いた手口とまったく同じだ。その頃は、延安西路の高速の下でよく見られた手口だったのに、古北へ移動していたとは。
驚く私を尻目に、笑顔で続けるユウちゃん。
「その後、Bが別の札束を出してきて、俺はこんなに持ってるんだから盗るはずがないって言い出したんです。それは、工場に支払うためのもので、この妹と今から支払いに行くところなんだって。そしたらAが、念のために荷物を調べさせろって言い出して、ほかのところへ連れて行かれて、かばんを開けられて・・・でも全部私の目の前で起こったことなんですよ!お財布も見られたけど、お金を戻すとこも見てたし。お兄ちゃんはいい人で、妹はそんなことしてないから、早く戻してやれって」
・・・ってユウちゃん、「お兄ちゃん」て。
その後、「兄」は疑惑の札束を封筒にしまい、ユウちゃんに預かってほしいと渡したが、ユウちゃんは怖くなり、札束の封筒を持ったまま、タクシーで警察へ向かったんだという。
「で、タクシーを降りようとふと財布を見たら、お金がなかったんです。しかも、友達に迎えに来てもらって、警察で今の話をして、封筒も開けてもらったら、中身が紙切れだったんです!警察で叫びましたよ・・・マジック!って」
う〜ん、なんという華麗な手さばき。などと、感動している場合ではない。
興奮冷めやらぬまま帰宅したユウちゃんは、カメラも盗られていたことに気づいたという。兄、全然いい人じゃないじゃん!
中国語がちょっと聞き取れて、嬉しくて話に乗ってしまったというけれど、妹よ・・・
知らない人について行ってはいけません。

written by aiya