もうかれこれ1ヶ月ほど前のおはなし。

もうかれこれ1ヶ月前ですが、陶?(我々の間では通称”トウキチ”)のコンサートに行ってきました。



陶?とは、台湾で周杰倫(イニシャルDの主役の俳優)と人気を2分し、10年間台湾の一番好きな作曲家とも言われるアーティストなのです。

そんな彼が中国大陸でソロコンサートを開くということで、友人3人と行ってきました。

 

中国ではコンサートなどのチケットは前もって買う人が少なく、大概ダフ屋から買います。通常日本でダフ屋からチケットを買うと開演ギリギリまで割高で、開演始まった頃に少しずつ値段が下がるものですが、中国では開演前にすでにチケットを定価よりも安く売っています。

 

チケットを買い、会場に入ってしばらくすると僕の隣にコンサート会場に紙袋を持ち、ギターケースに入れずにフォークギターを肩から提げた、劇団ひとり似の男の人がやって来ました。

 日本のコンサートにもひょっとすると紙袋を持ったファンはいるかもしれないかもしれませんが、間違いなくギターを持ってくるファンはまずいない。さすがの中国でもそんな人がいるわけもなく、彼の周りの人々は彼に対してドン引き。彼の隣にいた女の子が奇妙に思ったのか、席を換えていました。僕もせっかくコンサート見に来たのに、彼のギターと歌声で台無しになるのではと心配しました。



 ふと彼の紙袋の中身を覗いてみると、中にはダンボールみたいな厚紙に歌詞が書いてありました。一体、ステージからこんなにかけ離れた場所のどのような状況でその歌詞カードを使うのだろうという変な期待感とかなりのトワイライトゾーンな感覚に包まれていると、彼が袋の中をゴソゴソし始め、おもむろに陶?のスコアを4冊ほど取り出しました。

 厚紙に歌詞を書く暇があれば、スコア持ってこないで出来るように練習しようよ。とか心の中で彼にツッコんでいるうちに、コンサートが始まりました。

 日本でコンサートなどが行われる場合、大体時間通りに始まるものですが、中国では時間通りに始まったためしがない。このときも30分ほど遅れて始まりました。

 さて、コンサートが始まってから心配した隣の彼のギターですが、一向に音が聞こえてこない。不思議に思い耳を傾けると、



「ポロ〜ン、ポロッ」



というような音しか聞こえてこない。どうやら彼はギターが弾けないようです。ですが、彼はさも弦の調律が合っていないかのごとく、調節し始めました。

調律が終わると、ギターを弾くのではなく、今度は袋の中からドラムのスティックを取り出し、シャドードラムを始めました。シャドードラムといえば、聞こえはいいかもしれませんが、本当は音楽の授業のときの小太鼓のような動きでした。

シャドードラムを1分半ほどやると、またギターをポロ〜ンとやり、弦を調整して、またシャドードラムをして、という行動をコンサートの間の3時間近くずっとしていました。

 

 隣の彼についてしか書いていないので、陶?のコンサートに印象がないように受け止められるかもしれませんが、彼の素敵な歌声あり、ちょっとした笑いありでとてもいいコンサートでした。



ただ、次はもっとちゃんと聞きたいですが。